ツレうつ

わたしはドラマは全然観ていないので知らないけれど
細川貂々さん原作のコミックエッセィ「ツレがうつになりまして
その続編とツレさん自身の闘病記「こんなツレでごめんなさい」は図書館で借りて読んだ。
当事者も家族もとても参考になるし、うつ病への理解が深まればいいなぁと思う。


貂々さんがツレさんの「死にたい」という、うつ病希死念慮に対して
すぐに病院へ行くように言った対応は本当に正しい。
配偶者(家族、友人)がうつ病になった時
(日常生活が送れないほどの落ち込みが続いた時)には
“一刻も早く専門医を受診しましょう”しかないと思う。
抑うつ症状を示す他の病気の可能性もある。
他の精神疾患の可能性もある。


私の場合、母親の話では「夜泣きばっかりする乳児期」
「遠足の前や行事の前後に熱を出す幼児期」だったらしい。
自分自身のはっきりとした記憶は7歳ぐらいからしかないので
たぶん物心のつくのが遅いボーっとした子だったのだろう。
だから生まれつき自律神経系が弱い体質だったと思う。


22歳ぐらいの時にある日、会社に行けなくなった。
いまでいう引きこもりみたいなもの。
ただ、厚生年金の記録を見ると(ココに関してだけは年金特別便は便利だった)
休職して退職して2ヶ月後くらいには新しい職についていたので
休養すればよくなった様に覚えている。


ただ、一度、転職した後、2年ぐらいで、また会社に行けなくなったので
さすがにその時には色んな病院に行って
最終的に精神科でロールハッシャテストや絵を書かせられたりした。
その頃もいまも精神分析はそんなに進歩していない気がする。


そして休養して、薬を服用しつつ
さすがに正社員は無理だったので、アルバイトをしていた。
同級生の友人の友人の元夫と2年ほどつきあって結婚
それからは不思議と治癒していった。


結婚しても仕事はパートで続けていたし、断薬して3ヶ月後に妊娠と
とんでもない若さゆえの無謀なことをしたけれど
子どもは無事に健康に自然分娩で生まれたし
12年後に私の父親の死がきっかけで再発するまで私も健康だった。
2回の出産後に軽くマタニティブルーになったのと
PTAの役員を頑張りすぎてメニエール病になったりはした。
赤ちゃんは生命力のかたまりなので
たぶん、それでマタニティーブルーは治ったような気がする。
メニエール病はPTA役員が終わったら治った(わかりやすすぎ・・・)


うちの場合、うつ病歴を承知で結婚した元夫でも、仕事が忙しくなると
家のことはまかせっぱなしで、夫婦の会話もなくなった。
それは元夫だけの問題ではなく、日本が経済成長期だったのと
家は妻が守るという伝統から来ていたと思う。


貂々さんのように妻が働いて夫が専業主夫というのは
かなり厳しいとはいえ
夫婦が無理なく支えあえるのなら
やっぱり、主治医に相談しながら
家族でカウンセリングなり、投薬治療を受ける方が一番いいと思う。
いまは心療内科はたくさんあるから、とにかく受診して
自分と合う医師を見つけるまで、あちこち行ったっていい。
(各地域にある精神保健福祉センターに行って相談するのもよいでしょう)
選ぶ権利は患者にだってあるのだから。


薬も効き目が現れるまでは最低でも2週間はかかる。
即効性のある精神安定剤などと併用しながら
最初は治すというより、日常生活が送れるようにする
そして、苦しくて辛い心身の病状を抑えて
QOL(生活の質)をよくする為に服用して安静にして様子を見る


私が20代で発病した時、まだまだ、精神医療に対する偏見は根強くて
医師はその時代にしては、よい医師に巡り合えたと思うが
周りに理解されない経験はイヤというほどした。
「気の持ちよう」とか「甘えてるんじゃないの」とか何度も言われたので
うつ病であることをカミングアウトすること自体にも抵抗が強くて
本当に長年の友人2、3人にしか言っていない。


カミングアウトというのは、どんな種類のことであっても
社会において自分が少数派に属し、しかもそれに対する偏見が根強いことに
「私はそちら側の人間です」・・・と言うのはとても勇気がいることだし
その時に「相手が引くかもしれない」のはむしろ当然だと思って話す方がよいと思う。
そうじゃない人もいるとは思うけど
自己武装しておくとダメージが少なくて済むのは確か。
(ちょっと、人間不信気味の所があるので、すみません)


母子家庭であることは、子どもには隠すことではないと言っているし
最近はとっても多いので、「離婚した」ことは友人知人 ほぼ全員が知っている。
もともと仕事人間で 年間5分の4は家にいない父親が
別居(単身赴任で時々しか会わなくなった)→両親が離婚した(全く会わない)に
順序を踏んで移行したので、子どもにダメージは少なく配慮したつもり。
私がうつ病であることも子どもには説明しているけれど
次男は徐々になんとなく・・・という感じ
長男は大学の心理学部に進んだので、一応わかっているようだ。


母はわかろうと努力してくれているけれど
時々、すごい正論をぶつけてくるので
「いやいや、人間、頭でわかっていたって、できないことはあるんだよ〜」
「あ、そうか、ごめん」の繰り返し
トシを取ると“頑固”に拍車がかかるのは
介護の仕事をしていた時に、つくづく痛感した。


貂々さんご夫婦が、独自の価値観を持っていたり
信仰(クリスチャンだそうです)を持っていたりするように
同じうつ病でも、病状や回復の仕方もひとそれぞれだと思うので
こうして、ネットで情報が多いと逆に混乱する場合もあり
ネットは諸刃の剣である(病気ではなくても特にメンタル面が弱い方の場合)
言葉はひとを勇気づけることもあれば、傷つけることもある
そのことを、自戒も込めて、常に忘れないでいたいと思う。