入院生活

うつ病歴は8年程になるけど
入院は初めてだった。
かなりうつ病が悪化していたせいか
記憶は所々しかない。
なんとなく入院できてホッとしたような気持ちになったことは覚えている。


入院するまで苦しいのと死にたいのと
別れたカレに対する憎しみや怒りや
色んな感情が毎日のように押し寄せていたから。


何年もつきあった恋人が一番苦しい時に
平気で別れを告げられるということがどうしても納得できなかった。
そんな人だと、どこかで思いながらも依存していた自分を責めていた。


4人部屋で、私は窓際のベッドになった。
同室だったのは同じく本好きのYちゃん
症状は私よりも重いけれど、純真で優しいkちゃん
ヤンママ風の私と同じシングルマザーのMちゃん。


Mちゃんは私が入院して1週間程で自己退院してしまったのだけど
本当は携帯禁止の病室でしょっちゅうメールをしたり
派手なブランドの洋服やバッグを持って
外泊してはカレシと遊んでいたようだった。


最初は「この人のどこが病気なの?」と反感を持ったけれど
しばらくするとMちゃんが実のお母さんと仲が悪いことや
子育てがうまくいってないことがわかってきた。


退院が決まってからMちゃんがポツンと
「カレシは他に付き合ってる女の子がいるのに
わたしの部屋にも来るのってなんなのかなぁ?
デート代も全部わたしが払ってるんだよね」


「そんなの遊ばれてるんだよ」って言うのは簡単だけど
過去の自分を見るようで
「Mちゃん、一回カレシとちゃんと話し合ってみたら?
私はMちゃんのカレシを知らないけれど
もっと自分を大切にしてくれる人とつきあった方がいいと思うよ」


Mちゃんより、うんと年上のわたしが
わかっててもできなくて辛くて苦しんで
こうして入院までしちゃったのにな。
でもね、Mちゃん、わたし、自分にも言い聞かせてたんだよ。
もっと自分を大切にしようって。