しがみつかない生き方


私は関西人だからなのか故河合先生のユーモアあふれるお人柄が大好きでした。
だから香山氏の故河合隼雄氏の「魂が傷つく」という表現に白けた経験がある・・・に驚きました。
その後、考えを改めたられたようですが
香山リカ氏も、もちろん、それなりの精神科医だろうけれど
臨床心理士の臨床経験と精神科医の臨床経験は似て非なるものではないかな?
・・・と故河合隼雄氏の著作を多く拝見したことのある私としては感じました。


どうすれば普通に生きられるか?どうすれば失敗しないか?・・・なんて
幼子が転ぶ前に支えてしまう間違った子育て方法と似ています。
本当に大切なのは失敗しても(辛い目にあっても)
それを経験として、よりよい生き方に方向転換することなのでは?
よりよい生き方というのは社会的な成功を治めたり普通の人生だけにかぎらず
その人にとって心が満たされる生き方であり、多様なものだと思います。


例え、魂が傷つくような思いをした人間でも、
もしかしたら治らない病気を抱えていても、
それで全部が全部ダメになる訳じゃない。
しがみついて、ほんの一瞬、それで生き延びることができるなら、
それが子どもでもお金でも恋愛でも、いいじゃないか。
そうするしか生きられない人間がいるってことをありのままに認めない社会だから、
みんな苦しんでいるんじゃないだろうか?


香山氏のこの著作は一瞬がんばらない生き方を薦めるように見えて
じつは別の既成概念を押し付けられている気がします。


ポジティブ全開では生きにくい社会ではあるけれど
だからといって、そうなったら大変だよ!気をつけなくちゃ!って
ネガティブ思考ばっかりでもなぁ。
結局、あいまいが良いって結論なんだけど
それって、ずーっと河合隼雄氏が述べられて
河合先生の著作にもたくさん書かれていることやんかーと、私は思ったんだけれど。


私は人間が好きです。
人間(自分も含めて)の持つ愚かさや優しさや弱さを愛おしいと思います。
ただ、ジャッジ(否定も肯定もしないこと)なしで傾聴することは
とても大変な精神力が必要だと思います。


理解できなくても、理解しようと努力してくれている人なら
私は受け入れたいし、「HELP」と言えるような気がします。